ある日、ふと手に取った塩キャラメル。 パッケージをよく見ると、「魔性」の文字。 「魔法」と読み間違えたことに気づいたのは、帰宅した後だった。
思わず手に取ってしまった塩キャラメル
コンビニの棚に整然と並んだ数々のスイーツ。
その中でひときわ目を引いたパッケージには 金色の文字が光る。「魔性」の二文字が踊る。 視界の隅にその輝きが焼き付く。
「あ、魔法の塩キャラメル?」
そんな軽い気持ちで手に取った。 魔法という響きには、どこか安心感がある。 童話のような優しい甘さ、幸福感に包まれるような印象。
帰宅し、パッケージを見つめる。
「魔性……?」
違和感。 魔法ではない。 しかし、なぜか惹かれてしまう。
これは単なるキャラメルではない。 魔性とは、人を惑わし魅了する性質。 ひとくち味わえば、その虜になってしまうということか。
試しに包みを開ける。 香ばしいカラメルの香りが広がる。 指先に乗せると、ほんのり塩気を感じる。 口に入れた瞬間、濃厚な甘さとともに、 塩のアクセントが際立つ。
甘い。 だけど、単純な甘さではない。 どこか危険な、抗えない魅力。
気づけば、もう一つ、もう一つと手が伸びる。 まるで罠のように、食べるほどに逃れられなくなる。
一度食べたら沼にはまる
魔法と魔性。 言葉の違いは微細でありながら、 その本質はまるで異なる。
「魔法」とは、現実ではなしえない不思議なこと。 どこか夢心地で、優しく包み込む力。一方、「魔性」とは、人を惑わせ、抜け出せなくするもの。 抗えない魅力、抗えない誘惑。
そして、この塩キャラメルはまさに「魔性」。口に入れた瞬間、幸福感が広がる。 濃厚なキャラメルが舌に絡みつき、 その後から塩気が甘さを引き締める。
「もう一つ……」
気づけば次へ次へと手が伸びる。 頭では止めようと思っても、 体が欲してしまう。それはまるで、沼。一度足を踏み入れたら、簡単には抜け出せない。 じわじわと沈んでいく快楽。
「魔性の味」とは、こういうことなのかもしれない。
魔性の男と女
塩キャラメルを舐めながら「魔性」について調べてみる。
「魔性の男」 自分の魅力を自覚し、それを武器にする。 計算高く、時には冷たささえ感じる魅力。一方、「魔性の女」 自分では意識しないまま、周囲を魅了する。 その魅力は計算ではなく、天性のもの。
女性の方がどうやらミステリアス色が強いらしく、 何を考えているかわからない。 その魅力に惑わされる。
この塩キャラメルは、まさに後者の印象。
何気なく手に取ったのに、 思いのほか、惹き込まれる。一度食べたら、もう止まらない。 その魅力に溺れ、抗えなくなる。
魔法にかかるとは
魔法とは、現実ではなしえない不思議なもの。「魔法にかかる」とは、夢見心地で幸福感に包まれること。
チョコレートを食べると、 ほっとした温かい気分になり、 幸せな、夢うつつな気分になる。
「魔法のチョコレート」そう呼ばれることがあるのも、 チョコレートが持つ甘さと癒しの効果が理由だろう。
しかし、塩キャラメルは違う。これは「魔性」・・・ 食べた瞬間、抜け出せない。
魔性な塩キャラメル
その言葉に惹かれ、思わず手に取ってしまった塩キャラメル。
「たまたま買っただけ」・・・ そう思っていたのに、 気づけばまた食べたくなる。
ホロ苦いカラメルと際立つ岩塩の魅力。心地よい甘さに包まれながらも、 どこか刺激的な味わい。「魔法」や「魔性」で表現されるモノには、 抗えない美味しさがある。
よかったら、貴方も騙されたつもりで、 いや、惑わされた気持ちで、 塩キャラメルの甘美な魅力に嵌ってみませんか?
そして気づけば、 また一粒、また一粒と手が伸びる。
その瞬間、あなたももう、 この「魔性」の虜になっているのかもしれない・・・