旅先での偶然の出会いは、時に人生の彩りを大きく変えてくれるものです。
私と彼女が出会ったのも、そんな思いがけない瞬間から始まりました。
その日は、旅の途中で立ち寄った小さな公園で、偶然同じ犬種を連れていた彼女と出会いました。彼女の連れていた犬は私の愛犬とまるで双子のようにそっくりで、そんな光景に思わず「似てますね」と声をかけたのが始まり。年齢を尋ねると、私と同い年だということが分かり、不思議な親近感が生まれました。
最初はただの会話から始まりましたが、気がつけば時間を忘れて話し込んでいました。「またお話ししたい」と思った私は、少しの勇気を出して彼女に連絡先を尋ねました。彼女も快く応じてくれて、その場で連絡先を交換した瞬間、何か新しい扉が開いた気がしました。
半年に一度の特別な時間
それからというもの、私たちは半年に一回程度、どちらからともなく連絡を取り合い、一緒にお出かけをするようになりました。私はどちらかというと控えめで引っ込み思案な性格。自分の意見をしっかりと言葉にするのが少し苦手なタイプです。そんな私に対して彼女は、はっきりと物を言い、自分の意思をしっかり持っている人。その違いが、むしろ心地よく感じられるようになりました。
彼女と出かけるときは、いつも彼女が「行きたいとこリスト」を用意してくれます。そのリストには、彼女ならではのセンスで選ばれたスポットが並び、どれも私にとって新鮮な驚きを与えてくれるものばかり。私自身が計画を立てるのが得意ではない分、彼女のリストに頼れるのがとてもありがたかったのです。
雪の日の冒険
その日も、彼女が用意してくれた「行きたいとこリスト」に導かれるように、お出かけが始まりました。
空は一面の曇り空で、時折小さな雪が舞い降りる寒い日でした。でも、そんな寒ささえも彼女と一緒なら特別なものに思えるから不思議です。
いくつかのスポットを巡り、おしゃれな雑貨店で可愛らしい小物を眺めたり、ふわふわのパンケーキを頬張ったりして、充実した時間を過ごしました。そしてその日の締めくくりに彼女が選んだ場所が、私の記憶に深く刻まれることになる「ピエール マルコリーニ」というお店でした。
チョコレートパフェとの出会い
「ピエール マルコリーニ」は、ベルギー発祥の高級チョコレートブランド。その名前を聞いたことはありましたが、訪れるのは初めて。雪が降り続く寒い日だったこともあり、店内の暖かい空間に足を踏み入れた瞬間、ホッとするような安心感が広がりました。
彼女が「ここで締めくくりにこれを食べよう」と指さしたメニューは、「パフェ オ ショコラ」というチョコレートパフェ。冷たいパフェを寒い日に食べるなんて、少し意外な選択だと思いながらも、彼女のセレクトには絶大な信頼を置いているので迷わず注文しました。
宝石のような一口
パフェが運ばれてきた瞬間、目の前に広がったのはまるで宝石のような輝きを放つチョコレートのデザート。濃厚なチョコレートの香りがほんのり漂い、その見た目だけで心が躍るようでした。
スプーンですくい、一口目を口に運ぶと、驚くほど滑らかな舌触りと深みのあるカカオの味わいが広がります。ただ甘いだけではなく、ほんのりビターで、上品な酸味がアクセントになっています。温かい店内で冷たいパフェを食べるという新しい感覚も相まって、その美味しさは言葉にできないほどでした。
彼女の笑顔と思い出
「これが食べたかったの!」と彼女が笑顔で言ったその一言に、私はなんだかとても満たされた気持ちになりました。彼女が選ぶ場所や食べ物には、いつも彼女らしいセンスと温かみが詰まっていて、それが私の心を温めてくれるのです。
彼女とのお出かけは、単なる日常の延長ではなく、特別な冒険のような時間。どんな場所であれ、どんなものを食べるにしても、彼女と一緒なら特別なものに感じられるのが不思議です。
思い出の味が残すもの
ピエール マルコリーニでのチョコレートパフェは、私たちの思い出の一ページとして今でも鮮やかに残っています。あの雪の日の冷たさ、店内の暖かさ、そして彼女の笑顔。そのすべてが、私の中で大切な宝物になっています。
次の「行きたいとこリスト」
彼女とのお出かけは、これからも続いていくと思います。次はどんな場所に連れて行ってくれるのか、どんな新しい体験をさせてくれるのか、それを想像するだけでワクワクします。
普段の私は、自分だけでどこかへ行くことはほとんどありません。でも、彼女と一緒なら、未知の世界へ一歩を踏み出せる気がするのです。そんなふうに、私の世界を少しずつ広げてくれる彼女の存在に、心から感謝しています。
最後に
偶然の出会いがもたらす不思議な縁。それは日常の中に小さな奇跡を生み出してくれるものです。彼女との関係も、その一つだと思っています。そしてこれからも、そんな奇跡のような瞬間を大切にしながら、一緒に素敵な時間を紡いでいきたいと思っています。
あなたにも、心を温めてくれるような「特別な場所」や「特別な人」がいますか?その存在を、ぜひ大切にしてくださいね。